[NHK-FM 1時間ラジオドラマ放送タイトル一覧補遺・簡素なあらすじ] (1998.3.20版) 「地下鉄のシンデレラ」(1989.2.11) 電車の中で会った少女の気をひくため、彼女の靴を使っていたずらしてみせる外 国人青年。少女は面白がるが、周囲の人間にはただの泥棒としか見えず、少女が 降りた後、乗客の通報で青年は逮捕されてしまう。 「唐黒の壺」(1989.4.1) かつて城代として活躍したご隠居の忠理は、ある夜、二人の男の話を立ち聞きす る。それはなんと、彼の隠し持っている唐黒(黒砂糖)の壺を奪う相談だった。 奉行所に届け出るわけにもいかず、身内も助けにはならない。一人きりでどうやっ て壺を守り抜くのか。煩悶するうちにも、強盗の来る日は刻一刻と迫ってくる。 「赤い鳥・ひとり」(1989.4.22) 独身の音楽家を狙って押し掛け弟子になっては、金をだまし取る。嘘八百で世の 中を渡っていく家出少女かし子の物語。 「マージナル」(1989.5.6) 女というものがなくなり、すべての子供はただ一人の「マザ」からもたらされる 世界。ところがその中で、胎児を宿した一人の子供が見つかる。そして、マザが 暗殺される事件が起こった……。 「風博士」(1989.5.27) その町にはかつて、風博士という名の偉大な風の研究家がいた。だが博士は、長 年続けてきた研究の完成を間近にして、突然失踪してしまった。この町を一人の 旅人が訪れる。旅人は、風博士などいないことを証明するために風博士の研究を 否定する研究をしている(ややこしいな)、蛸博士という人物の家に案内される。 「カモメの駅から」(1989.6.17) 祖父と二人暮らしのみずえの家には、毎日のように借金取りがやってきて、気の 休まる時がない。そうしたある日、祖父はみずえを、とある小さな浜辺に連れて いった。埋立で陸の中に取り残された後でも、その浜辺にはたくさんのカモメが 集まってくるのだった。 「海の雪」(1989.8.5) (作成中) 「海からの手紙」(1989.8.19) (作成中) 「ちはやふる奥の細道'89」(1989.12.16) 忍者の子として生まれながらあらゆる試験に落第し、ダメ忍者の烙印をおされた 松尾芭蕉。そのコンプレックスを吹き飛ばすべく、ある計画を心に秘めて、彼は みちのくに旅立った……素人日本研究家が読み解く、勘違いだらけの「奥の細道」。 「帰ってきた男」(1990.1.6) 中央アジア奥地の遺跡を探険に行った男が、数百キロ離れた砂漠で救出される。 帰国後に彼は、その石造りの家が立ち並ぶ砦の町で体験した、神秘的な出来事を 話し始める。 「三億の郷愁」(1990.1.20) 地震に巻き込まれて、昭和四十年代の東京にタイム・トリップしてしまった浅井 と江藤。そういえば、あの三億円強奪事件が起こったのはこの年だ。そこで浅井 は、ある大胆な計画を思いつく。 「天の記憶」(1990.2.23) 宇宙から降り注ぐニュートリノをとらえるために鉱山の地下に作られた観測施設、 カミオカンデ。「私」は毎晩地の底に潜り、計器を監視しながら、はるかな天体 に想いをはせる。そんな「私」がある晩、公園で犬の足跡を採取している変わっ た男に出会った。 「ブロンズの愛」(1990.4.8) 二体のブロンズ像が、長い年月の間に見てきたさまざまな人間の姿を語り合う、 という内容だったと思うがよく憶えていない。 「多摩川」(1990.6.24) 詩や音楽、講談、そして様々な人々の証言を組み合わせて、多摩川の歴史と風景 をつづるドキュメンタリー。 「木を植えた男」(1990.7.1) 旅人はとある荒野で、たった一人で木を植え続けている男に出会う。数年後に再 び訪れたとき、その一帯はみごとな森に変わっていた。そこに住む人は誰も、そ の森が一人の人間の力で作られたことを知らず、信じようともしない。そして男 は今もなお、別の荒野に木を植え続けているのだった。 「夜のコーラス」(1990.7.8) 痴呆症の母親をかかえた共稼ぎの夫婦。介護疲れで夫婦の関係にも軋みが生じて いる。日々記憶の退行してゆく母親は、息子を自分の夫と取り違えるようになり、 それをきっかけに、終戦時に息子をつれて満州から脱出した思い出をよみがえら せた。 「うたかたの日々」(1990.8.5) ハツカネズミと一緒に暮らすコランは、クロエという娘と恋に落ち、やがて結婚 する。しかしクロエは、胸の中に水蓮が咲くという奇病にとりつかれてしまった。…… というようなシュールなイメージに彩られた、悲恋の物語。 「村の名前」(1990.10.7) 中国にやって来た商社マンは、桃花源村という名の村に案内される。幻想的な名 前に、桃源郷のイメージを抱いて期待をつのらせる男。確かに変な事件は次々と 起こるが、そのどれもがどうにも現実的な、なまぐさい出来事ばかりなのだった。 「渇水」(1990.10.21) 水道料金未払いの家の水を止めにきた二人の水道局員。その家には、幼い姉妹が 二人きりで住んでいるだけだった。それでも彼らは、心を鬼にして水を止めなく てはならない。後日二人は、姉妹が家で餓死したことを知らされる。 「白華〜湖底の譜」(1990.12.1) 台風で増水した川の中から、以前助けてやった魚が美しい女の姿で現れ、男の願 いを一つかなえてやるという。男は魚になって水の中で暮らすことを望む。連れ ていかれた湖底は、この世の楽園のような所。しかしそれは見かけだけで、実は 地上からの汚染物質が滞留して深く侵されているのだと聞かされる。 「JODK――消えたコールサイン」(1990.12.23) JOAK, JOBK, JOCK。戦前からある日本のラジオ局のコールサインである。実はも う一つ、終戦と同時に消えた幻のコールサインがあった。JODK、京城中央放送局。 その最後の一夜を、ドキュメンタリータッチで描く。 「キャロル」(1991.1.5, 6) 世界から「音」が奪われていくことに気づいた少女キャロル。彼女は異次元の国 ラ・パス・ル・パスに呼び寄せられ、大魔王ジャイガンティカの復活を阻止する ための冒険に旅立つことになる。 「妊娠カレンダー」(1991.1.20) 姉の妊娠で家族の中での自分の居場所がなくなったと感じた妹は、胎児に害があ るというグレープフルーツをわざと食べさせようとする……。妊娠をめぐる微妙 な心理と生理の変化を、原作とは違って胎児の視点から描く。 「木と水への記憶」(1991.2.11) 何の目的もなく山を歩いていた私は、滝の前で行者らしい不思議な男に出会う。 男は、私が来ることを「自分自身に知らされて」待っていたのだと言う。そして もう一人の道連れ、「命の子供」――生まれ出る前の、まだ形を持たない命。三 人は山の中に分け入り、さまざまな形での生命との出会いを体験する。 「電光仮面最後の戦い」(1991.2.17) かつて「電光仮面」に扮して日本中の子供に愛と勇気を教えた男も、今は還暦を 迎えたおじいちゃん。息子は家庭を捨てて出ていき、娘からは事あるごとに嫌み を言われるような日常。そんな折、かつての宿敵からの挑戦状が届く。さらわれ た孫を取り返すために、男は再び電光仮面として立ち上がった……。 「ネオン」(1991.4.14) アンドロイド技術者のアキオは、通常三日しかもたないアンドロイドの記憶容量 を大幅に増やした「ネオン」を完成させた。彼女を工場から連れて逃げ出したが、 直後に追い剥ぎに奪われてしまう。二年後にようやく取り返したネオンは、もう 彼のことを覚えていなかった。アキオは老朽アンドロイドのミミカと一緒に暮ら しながら、ネオンのその後の生活を監視し始める。 「逢魔が時に」(1991.4.21) ビルの階段の踊り場で、くたびれたセールスマンと一人の少女が出会う。少女は このビルの屋上で夕陽を見るために登ってきたのだと言うが、階段は途中で閉鎖 されていて上れない。だが、男の記憶が確かなら、今日は掃除のためにこの扉が 開く日だ。それまでの時間を、二人はお喋りしながら待つことにする。 「現代病草紙」(1991.5.19) 突然倒れて、病院に運び込まれた詩人が体験する入院生活。テーマソングのイン パクトが強すぎて、内容の方はあまりよく覚えていない。 「耳と耳のあいだに」(1991.6.2) 釧路の湿原で動物の姿を撮りつづけるカメラマンと、何をしているのかよくわか らない女とが出会う。 「おねいちゃん」(1991.6.9) 喘息の妹を病院に送ってきて、自分も一緒に入院することになってしまったヨシ ミ。小児病棟内には、「リーダー」に服従することという暗黙の掟があった。陰 湿な体制に反発するヨシミだが、その気骨を買われて、彼女自身が次のリーダー に選ばれそうになる。そんな折、万引きを強要された妹のなおみが、病院を脱走 してしまった。 「愛と希望のアンビシャス計画」(1991.6.23) 老年人口の増加で、老人ホームに入るのにも試験が必要になった時代、国立のホー ムへ入るために予備校に通う老人たちの物語。 「砂漠巡行」(1991.6.30) 母を連れてイスラエルに旅行した男が、どういうわけか巡礼の一行に加わる羽目 になり、とうとう洗礼まで受けてしまう。 「白の森・不思議」(1991.7.7) バスで乗り合わせた女たちは、偶然にも同じ村の出身だった。彼女たちは今はダ ムの底に沈んでいるその村――「白の森」での、なんとも非現実的な体験を話し 合う。 「死んだら神様よ」(1991.8.4) 落ちこぼれの工兵部隊と、慰問にやってきた沖縄舞踊団との束の間の交流を描く。 「サハリン・シンフォニー」(1991.8.11) 明治初期にロシアへ売られた祖母は、現地の青年と恋に落ちて一緒に逃げ出し、 サハリンで母を産んだ。今は日本に住む娘が、女三代にわたる歴史を回想する。 「鏡の向こう側」(1991.9.1) 36歳の誕生日を、一人で寂しく迎えようとしているOL。その部屋に突然、総勢七 人ものセールスマンが押し掛けてくる。彼らを追い返した後も、なぜか次から次 へと訪問者がおとずれ、そのたびに彼女は急速に年をとっていく。それは、孤独 でみじめな自分の未来の姿なのだった。 「自動起床装置」(1991.10.20) 仮眠室の社員を指定された時間に起こす、起こし屋のアルバイトを始めた満。そ こで一緒になったのは、いつも植物図鑑を手放さない、不思議な雰囲気を持った 聡という青年だった。 「ア・ルース・ボーイ」(1991.10.27) 県下一の進学校を中退した鮮は、他人の子を産んだ幹を助けるために、一緒に暮 らし始める。既成観念に縛られない、自由な生き方を求める少年の物語。 「進化論ホテル」(1991.11.17) 物に触れることで、その場で起こった過去のできごとを知る能力を持つ神月レナ オは、あるとき偶然「地球の骨」と呼ばれる化石のかけらに触れ、一瞬のうちに 46億年の地球の歴史を体験する。完全な形の「地球の骨」を求めて、彼は化石採 集人の小泉のもとを訪れた。 「飛・び・ま・す」(1991.12.1) 何気なく登った団地の屋上で、何気なく目が合った主婦を驚かせるつもりで柵の 外に出てみたサヨコ。すわ飛び降り自殺と、たちまち大騒ぎになり、両親が説得 に駆けつけてくる。サヨコはこの時とばかり、父の情けなさ、母の身勝手ぶりを 糾弾しはじめるのだった。 「シリウスC」(1991.12.8) 脳腫瘍にかかった兄は、自分が「シリウスC」という星から来たのだという幻想 を抱くようになる。しかし手術によって、シリウスCの幻は腫瘍と一緒に取り除 かれてしまった。それを悲しんで、兄は家を出てしまう。やがて、兄がしばらく 自分の家にいたという連絡を受けて、ぼくは絹枝という女性に会いにいった。 「クジラがいた日々」(1991.12.22) 父の失踪を機に、留美と母は高地の実家へ帰る。折しも故郷の漁村では一騒動持 ち上がっていた。港に一頭のクジラが迷い込んだのだ。しかも、留美の祖父の見 立てによれば、もうすぐ子供を産みそうだという。祖父がかつて捕鯨船乗りだっ たと知った留美は、どうしてそれをやめてしまったのか聞き出そうとする。 「星々の夜」(1992.1.12) 一人の少年が自殺した。少女は、かつてその少年の靴が色落ちしているのをから かったことを思い出す。自分たちの心ない振る舞いを反省し、丘の上のパン屋ま で謝りにいったクラスメートたちは、せめてもの罪滅ぼしにと、なぜか夜中の学 校で凧をあげることにするのだった。 「プロキオン201を追え!」(1992.1.19) 大戦のさなか、国産第一号のグランドピアノとして作られていたプロキオン201 は、空襲に遭って図面ごと焼失した。それから四十余年、ピアノコンクールの応 募テープを聴いていた上村は、ヒクマという男の弾くピアノの音に興味を持つ。 どこかで聴いたような音色、しかしまさか……。幻のピアノをめぐる、職人の意 地の物語。 「原色の荒野」(1992.2.9) 高校教師の長岡は健康診断で初期ガンと診断され、ただちに手術を受けることに なった。手術の日まではわずか四日。しかも、手術自体に死の危険性があると言 う。慌ただしく身辺を整理しながら、彼は否応なく死と向き合ってゆく。 「スタンピード・暴走」(1992.3.1) バイオ技術で巨大化したクローン牛が、ある日突然、大暴走を始めた。その群れ の真ん中に、テレビの取材班が取り残されてしまう。自らがニュースの種になる ことを承知で、最後の瞬間まで現場レポートを続けようとする取材クルーと、人 命尊重など建前でしかない冷酷な社会の姿を描く。 「ラブ・メディシン」(1992.3.8, 15) インディアンの指定居住区(レザベーション)に帰省してきた、白人との混血のア ルバタイン。同じ混血児だったジューンの死にまつわる謎や、魔女と呼ばれるル ル・ナナプシュと祖父母との確執、幼なじみリプシャの出生の秘密などを知るう ちに、民族の誇りに目覚めてゆく。 「バビロンに行きて歌え」(1992.3.22) 戦場の祖国から単身日本に逃れてきた青年と、東京に住む様々な女性や若者との 出会いを描く。 「大切な子どもたち」(1992.4.11) クラスに復帰してきたミツルは、今度も友達のことを覚えていなかった。また記 憶を消しすぎたのだ。ミツルが発作で暴れて大人たちに怪我をさせるたび、その ことが心の傷にならぬよう、記憶を消す措置がとられる。出生率の激減したこの 時代、子供は何をしても許されるのだ……。 「ナイト・コール」(1992.4.25) 高校教師の平林のもとに、マリー・アントワネットと名乗る女から毎晩のように 電話がかかってくる。最近生徒の間で問題になっているいたずら電話だ。どうや ら、同じ学校の生徒のしわざらしい。犯人を探す一方で、平林は電話の主の誘惑 に乗ってみたいという気持ちを次第に押さえきれなくなってくる。 「死に屋・ウサーラ」(1992.5.9) 退職警官の大向平造は、突然「死に屋」を始めると言いだす。実際に十九世紀の イギリスには、客の目の前でいったん死んでから蘇生し、臨死体験を話して聞か せる商売があったのだという。だが、平造が見つけたというその資料は、果たし て本物なのだろうか。 「世替り」(1992.5.23) 本土復帰を間近に控えた沖縄で、米軍基地から物資を盗み出して最後の一儲けを たくらんだ錦城正富。だが、今回に限りヘマばかりして、とうとう追われる身に なる。ユタ(巫女)のお告げで、とある木の根元を掘ればツキが変わると言われ るのだが……。 「DQ」(1992.7.4) 失踪した兄の行方を追う犬川は、ダイアルQ2のとあるパーティーラインをつきと める。それは、一人の少女が話すとりとめもない物語に、男たちがただ黙って耳 を傾けるという奇妙な番組だった。少女や常連たちから兄の話を聞き出そうとす るうちに、犬川自身も徐々にこのラインにのめりこんでゆく。 「ボトル・キープ」(1992.7.11) 定年退職して人生に張り合いを失った久井は、だらだらと無気力に日々を送り、 妻から邪魔者扱いされる。そんな彼に、大学の特別講師の依頼がきた。講師を引 き受けた彼は、やがてその講座の女学生の一人とつきあうようになる。 「夜の影」(1992.7.25) モンゴルの雪原で、子供と犬と一緒に一夜を過ごそうとする女。そのパオに、一 人の若者が転がり込んできた。やがてもう一人の男が追いかけてきて、その若者 は気がふれているのだと言う。しかし、女主人と若者との間には、歌を通して奇 妙な交流が生まれていった。 「空中鬼によろしく」(1992.9.5) 空中鬼とは、中国の言葉で酸性雨のこと。いつしの飼い犬の健次郎は犬小屋に入 るのを拒否し、その酸性雨に打たれて死んだ。労働者の暴動を見物に出かけて騒 ぎに巻き込まれたいつしは、翌朝、荒らされた町の中をさまよううち、健次郎に 似た犬を見つける。その犬を追いかけて、いつしはゆう子という少女と知り合っ た。 「コールマンさん」(1992.9.12) 「夏の終りに」の続編。いがみ合いながらも親娘二人で静かな老生を送っている ナツとたき。母のたきはいい歳をして、近頃散歩の途中で顔を合わせる老人に夢 中である。とうとう、コールマンさんと勝手に名付けたその人を、家に招こうと いうことになるが……。 「匂い男」(1992.9.19) ある日突然猛烈な体臭を放つようになった、窓際族の中年男。本人だけは気づか ないから厄介である。周囲の人々の困惑をよそに、彼の匂いは日増しに強烈になっ ていく。 「なみだ蟹のムーンライト・チアーズ」(1992.10.3) (作成中) 「青空」(1992.10.10) 幼い頃から双子のように一緒に行動していた姉が、突然家出した。いつも二人で 話し合っていた計画では、二人一緒に逃げ出すはずだったのに……。半年後、姉 の居所が見つかったという知らせを受け、ぼくは一人で会いに行くことにした。 「一人芝居」(1992.10.17) 劇団の下っ端役者のショウジショウイチに、主演のチャンスが回ってきた。そん な折、カンパチといういつも嘘ばかり言っている困った後輩から、同棲相手を妊 娠させてしまったと打ち明けられる。その相手というのはこともあろうに、今度 の芝居の共演者の真知だった。 「クラウディ」(1992.10.24) 学校の屋上から飛び降りようとしたぼくは、亡命機のミグ25にあおられて自殺し そこなう。以来、亡命という観念はぼくをとらえて離さない。そんなぼくの前に、 自殺したはずの高校時代の友人が姿を現した。 「環状線」(1992.10.31) 家を飛び出した妻と、それを追ってきた夫。山手線をぐるりと一周する間の二人 の会話だけで構成される、風変わりなドラマである。 「崩れ」(1992.11.7) 崩壊という自然現象に魅せられた作家が、日本各地の「崩れ」の現場を訪ねるノ ンフィクション。 「レンタル家族」(1992.11.14) レンタルの家族が家にやってくる話(そのまんまや)。 「リアル・バード」(1992.11.21) ゲリラ部隊に加わった少女ジョイの鮮烈な生き方を描く。負傷して病院に収容さ れたジョイに出会ったリリコ先生は、彼女の話に興味を持ち、日本の施設に連れ 帰った。だが、親のように慕っていた「チーフ」が射殺されるのをテレビの画面 で目撃したジョイは、再びジャングルの中へと帰ってゆく。 「あたし・の家族」(1992.11.28) デパートで働きながら、夜はそこのエレベーターを勝手に寝床にしているキクは、 帰るあてのない老人、孝二に出会い、この秘密の住処に案内する。これをきっか けに、娘役の少女かし子、息子役の青年・明をスカウトしてきて、この小部屋の 中に理想の家族を作り上げようとするのだが……。 「牛乳一合ココア入り」(1992.12.5) 正岡子規に心酔する国語教師が主人公。生徒や家族に馬鹿にされながらも、どこ までも子規に近くありたいと願う彼は、子規の食卓を再現しようとして(ものす ごい量なんだこれが)、食い過ぎで倒れてしまう。その願いが通じてか、彼の意 識はいつしか時代を越えて、病床の正岡子規と同化していた。 「委細面談」(1992.12.12) 結婚資金を作るため、東京へ職探しにやってきた若者。短期間で金になる仕事な ら何でもいいと探し始めるのだが、そういう仕事は、内容を聞いてみるととんで もないものばかり。毎度毎度、あわてて逃げ出すことになるのだった。 「遠い星から来たノーム」(1993.1.1) 体長10cmほどの小さな生き物「ノーム」の物語。 第一部では、デパートの中に住み着いているノームに出会った外の世界のノー ムたちが、やがてそのデパートが取り壊されることを知って、仲間たちを脱出さ せようと奮闘する。 第二部では、廃坑で冬を越そうとするノームたちのもとにまたも人間が現れる。 もはや地球の上に安心して住めるところはないと悟ったノームたちは、宇宙船を 手に入れて故郷の星に帰ってゆく。 第三部は、第二部の結末よりちょっと前のエピソード。自分たちの宇宙船を呼 び出すために、NASAの基地を目指すマスクリンたちの冒険を描く。 「夢見たものは」(1993.1.23) 浩二と由美たち仲良しグループは、30歳になったときにもう一度集まろうと約束 して、高校を卒業する。好きな絵の道を進むため、精力的に飛び回る浩二の姿を、 内気な由美は眩しい思いで見守りながらも、自分自身はただふらふらと運命に流 されてゆくだけ。 「夜に風を砕け」(1993.1.30) 学校の管理に反抗して停学になった豊は、病院で知り合ったノブのアパートを訪 れる。乳癌の手術で右の胸をなくした、周囲のすべてを拒否しているかのような 少女。作りものの胸のことを知られて学校にいられなくなったノブを誘って、ど こに行くのかと思えば、「新しい町を作る」と称して学校の窓ガラスを叩き割り に行くのだ。 「永遠に調べを」(1993.2.6) 妻に内緒で会社を辞め、憧れの私立探偵になった男。ヒサオという青年の素行調 査を開始するが、そこに現れたのは、なんと自分の妻だった。彼女もパートタイ マーの探偵になって、同じ相手を調べていたのだ。それもただの調査ではなく、 ヒサオ自身の依頼による「自己調査」なのである。 「小さな妖精」(1993.2.13) (作成中) 「見えない森の中で」(1993.2.20) 子を失った夫婦のもとに、相変わらず息子あてで送られてくるダイレクトメール。 夫婦はどこかに残されている息子の顧客データの出所を突き止めようとするが、 巨大なデータの森には歯が立たない。ダイレクトメールの内容は年を追って年長 むけのものに変わってゆく。まるで、息子がまだ生きて成長を続けているとでも 言うかのように……。 「竜の珠伝説」(1993.3.6) 仕事の都合でたまたま故郷に寄った信彦は、少年時代を回想する。彼はいじめら れっ子だったが、そんな彼をかばってくれたのがアキコ先生だった。先生は卒業 の記念に、信彦が書いた物語を劇にして上演しようとする。だが彼は、先生との 約束を果たさずに、故郷を逃げ出してしまったのだ。 「ぼがぁざん」(1993.3.13) 沖縄救出のために出航した戦艦大和の最後を描く。たぶん誰も知らないと思うが、 実はこの船には、一人の少女が密航していたのだ。 [メモ] 水中で「おかあさん」と叫ぶと、このタイトルになります。 「夢見た旅」(1993.3.21) 平凡な日常から抜け出すことを夢見ていた女が、銀行強盗の人質に取られて、本 当に町から脱出する羽目になる。図らずも夢が叶って女は大喜び。一方、こんな 奴を人質に選んでしまった強盗の方は不運と言うほかない。かくして、二人の珍 道中が始まったのだった。 「悪役志願」(1993.4.10) 女子プロレスラーになることを夢見て上京した少女の物語。 「煙草とレコード」(1993.4.17) ライブハウスに集まる若者を「ぬりかべの顔をした連中」と評し、音楽はビジネ スだと割り切って仕事をこなす男。だがひょんなことで、クラシック音楽に夢中 だった少年時代のことを思い出す。煙草のお使いと交換で、高価なレコードを売っ てくれた鈴木さん。音楽の価値というものを教えてくれたのはあの人だった。し かし、その鈴木さんの寝煙草が原因で、レコード屋は焼けてしまったのだった。 「夢見台へようこそ」(1993.4.24) トラックで夢見台の新居へ向かう家族三人。しかし父親だけは気が気でない。実 は不動産詐欺に引っかかってしまい、彼らの家はどこにもなくなってしまったの だ。どうしてもそのことを言い出せない父親は、あの手この手で夢見台への到着 を遅らせようとする。 「広くてすてきな宇宙じゃないか」(1993.5.15) 突然見知らぬロボットがやってきて、「今日から私があなたのおばあさんですよ」 なんて言われたらそりゃ嫌だよなあという話。 「ここをすぎて」(1993.7.3) 「母が死んだ」。風が吹くと発狂する主人公康二は、故郷の半月村へ、祖母を尋 ねに帰る。村長の家で、康二は怪しい老夫婦に会う。夫婦は、村はとうの昔に廃 村になっており、いま住んでいるのは、自分ら2人だけだという。(大島@明大 さんによる) 「洞窟真珠」(1993.7.10) 離婚しようと言い出した妻の気持ちを何とか変えようと、夫は妻を洞窟探険につ れてゆく。二人が知り合い、結婚するきっかけとなった想い出の洞窟……しかし そこは、立入禁止になっていた。何としても中に入りたい男は、洞窟の管理者の 老女と話をつけようとするが……。 「約束の夏」(1993.7.17) 若い頃の母が所属していたジャズバンドが、20年ぶりに集まる約束の日。しかし 母は、そんなことは忘れたかのように仕事に出かけてしまう。娘の虹子はこっそ り問題のジャズバーに行ってみるが、現れたのは元ピアニストの男だけ。虹子は 親子であることを隠して、母の昔話を聞きだそうとする。 「悪童日記」(1993.8.14) 東欧のどことも知れぬ国が舞台。親元を離れて国境近くの家に預けられた、二人 で一つの人格を持つ「ぼくら」が不気味に、狡猾に、冷酷に、そしてたくましく 生き抜いて行くさまを描く。 「夏の庭」(1993.8.28) 木山、川辺、山下の三人組は、「死んだ人間を見る」ために、今にも死にそうな 一人暮らしのおじいさんの監視を始めた。しかしおじいさんに見つかってしまい、 逆にこき使われる羽目になる。三人との交流を通じて、おじいさんは生きる張り 合いを取り戻してゆく。 「白い夜」(1993.9.4) 深夜のコンビニに毎晩やって来ては、監視カメラに向かってひたすら何かをつぶ やき続ける男がいる。彼はカメラを通して、レジの中のゆうこに話しかけている つもりなのだ。そのことにはゆうこだけが気づいている。だからどうだと言うの だ。よくわからん(おい)。 「やわらかい朝」(1993.9.18) 「コールマンさん」の続編。 「星条旗の聞こえない部屋」(1993.10.2) アメリカ大使館を飛び出した若者が、日本語を習いはじめ、国籍を越えた一人の 人間として生き始めるまでを描く(という話だったと思うのだが、何か違う気も する)。 「医学生」(1993.10.9) 色々あるけど早い話が、医者を目指す若者四人の青春模様。 「800――ツー・ラップ・ランナーズ」(1993.10.16) 色々あるけど早い話が、800m走に賭ける選手四人の恋愛模様。 「アンジェリーナ――佐野元春と三つの短篇」(1993.10.23) 拾い物のバレエシューズを受け取りに来た少女の意外な告白、話ができる不思議 なピアスをつけた青年の話など。 「子午線の祀り」(1993.10.30) (作成中) 「芝居見物」(1993.11.6) 別れた夫と昔よく待ち合わせた街角へ、ある予感に導かれてやってきた女は、思っ たとおり「夫によく似た人」と出会う。昔、芝居見物をしたあとよく行った喫茶 店に入った二人は、互いに見知らぬ同士を装い、会話の中から別れの原因を探り 出そうとする。 「あんた」(1993.11.27) 気がつくとなぜか真っ暗闇の中に閉じこめられている老夫婦。互いに縛られてい て、身動きもできない。そこで二人はどうするか。この時とばかりに、日頃の鬱 憤をぶつけ合いはじめるのである。 「岩場のチングルマ」(1993.12.4) OLをやめた娘が、父の跡を継いで現代風「富山の薬売り」になろうとする話。 「気のきいた予告編の作り方」(1993.12.11) 新作映画「サンドイッチ伯爵夫人」の予告編のアイデアを出し合うだけで終わっ てしまう話。 「ひとりで跳べる」(1994.1.8) これもたしか、癌を宣告された男が、手術を受けることを決意するまでの話だっ たと思う。 「前座OL物語」(1994.1.15) これはたしか、忘年会で落語を披露することになったOLが、江戸時代の八百屋の 幽霊(なぜ八百屋?)を相手に落語の手ほどきを受ける話だったと思う。 「海への扉」(1994.1.22) 浜にニシンを呼び戻すために禿山に木を植え続けたじっちゃん。村を飛び出て、 東京でジャズピアノを弾いている父。祖父の死んだ後、その父を探しに東京に出 てきた弦。彼らの想いは、「海」を通してつながっていた。 「お茶の間ラプソディー」(1994.2.5) 近所の壊れかけの自動販売機を、おばあちゃんは死に別れた恋人だと思い込み、 完全に人間扱いしている。とうとう、家のお茶の間に運び込んでしまい、家族と の奇妙な同居生活が始まった。 「七面鳥の森」(1994.2.12) 村にバイパス道路が通ることになり、最後まで残った男の一家も間もなく移転し なくてはならない。老いた母はそんな現実も知らず、毎日裏の森の七面鳥のこと ばかり気にしている。母の言うとおり、本当に森からあふれ出しそうな勢いで増 え続ける七面鳥。黙々と鳥の世話を続ける隣家の男は、いったい何を考えている のだろうか。 「コネコにコバン」(1994.3.5) 大金を拾った女の子三人組が引き起こす騒動。 「レンタル・メモリアル」(1994.3.12) 結婚式を間近に控えて、佳子は急に、二人の間に堂々とした「なれそめ」の物語 がないことに不満を言いはじめる。プロポーズのきっかけからして「いま式場を 予約すると、熱帯魚の飼育セットがついてくるから」だったりするから締まらな い。だが心配ご無用、そんな人のために「想い出」をレンタルしてくれる会社が あるのである。 「銀河動物園」(1994.3.20) 一陣の風とともに、初老の夫婦のもとに現れた不思議な少女。姿こそ若返ってい るが、それは最前死んだ母なのだった。これを皮切りに、かつて共に暮らした動 物たちが、次々とこの家に帰ってくる。 「遭遇」(1994.3.26) 空飛ぶ円盤らしきものが墜落したという話を聞きつけて、さっそく取材スタッフ が現場に向かう。そこで彼らが見たものは、手当たり次第に人を襲う怪物だった。 この怪物に登場人物が一人ずつ、順序よく殺されていく話。 「海の言葉」(1994.4.9) 大学のわずらわしい人間関係を逃れ、地方のシーワールドにやってきた真島時夫 は、イルカと言葉を交わすインストラクター、優子と出会う。人間に対してはひ どく内気で無愛想な彼女だが、それは両親の自殺に立ち会ったショックが原因な のだった。そんな彼女も、似たような心の傷を持つ真島には、不思議と心を開い てゆく。 「人力飛行機から蚊帳の中まで」(1994.4.16) 人力飛行機から墜落して脊椎を損傷し、今は機械の力で体を動かしている青年。 彼は自分の体に一箇所だけ、ハイテクを使わない部分を残しておいてもらった。 それは、笑顔を作る装置だった。……というのは主人公の見た夢。こうした夢を めぐるさまざまなエピソードが、どこかなつかしい味わいで語られる。 「冒険者たち」(1994.5.5) ねずみのガンバは、ある日チュー太という若いねずみを助ける。彼の住む島のね ずみたちは、いたちの軍団に脅やかされていて、このままでは皆殺しにされてし まうという。ガンバと仲間たちは、島のねずみの救援に向かった。 「記憶の裏側」(1994.5.21) 夢野久作の「胎児の夢」の稽古をしている劇団。その劇の進行と合わせるように して、主人公の封じ込めた過去が次第に明らかになってゆくという話。 「僕のセブン・オクロック」(1994.7.2) セブン・オクロックはニイヒロアカシ(変な名前だ)がその手で取り上げ、四冠 を制覇し、そしてレース中に死んだ伝説のサラブレッドの名である。そして、そ の馬の命日に彼が手に入れた愛車の名前でもある。その車で彼は人を轢いてしま い、現場にいたレイコという女と一緒に逃亡する羽目になるのだが……。 「金剛砂」(1994.7.9) 中国へ砂の研究にやってきた男とガイドの青年の二人連れが、シルクロードの真 ん中で道に迷ってしまう。やがて彼らは、砂漠の中の城塞都市にたどり着いた。 くつろいだ一時を過ごす二人だが、やがて、かつてない規模の砂嵐がこの町に迫っ ていることを知る。 「海に愛された思い出に」(1994.7.16) 美大生の「わたし」は、バイト先に現れた口のきけないホームレスの後を遊び半 分に尾けて、彼がすばらしい絵の才能の持ち主であることを発見する。グルーチョ と名づけた彼のもとを、わたしはしばしば訪れるようになった。彼はなぜか、自 分の絵を決して売り物にしようとはしない。グルーチョが死んだ後、わたしは彼 の絵に描かれた島を訪れる。 「紫陽花の家・富田良彦の告白」(1994.7.23) (作成中) 「天主堂」(1994.8.6) 自らの信仰に疑問を抱き始めた男と、信仰を捨てた老婆とが出会い、色々あった 末に、老婆の故郷の島まで一緒に礼拝に行くことになる話。 「アニー・ジョン」(1994.8.13) カリブ海の小島で暮らす少女アニー・ジョンが、級友グエンや「赤い女の子」と の出会い、母や周囲の人々への失望を通して、ついに島を出ることを決心するま で。 「ヤスとヒコ、三河漫才」(1994.9.3) 時間インタビューで明かされる、意外な歴史の真実。実は徳川家康と大久保彦左 衛門は、互いにヤス・ヒコと呼び合う、親友のような間柄だった。 [メモ] 講談形式の一人芝居という珍しいドラマ。 「天国の踊り場」(1994.9.10) 人は生まれるまでの期間を、天国の踊り場と呼ばれる場所ですごす。普通は生ま れてすぐに忘れてしまうのだが、どういうわけか悠介には、ずっとその場所の記 憶が残っていた。その悠介の学級に、ある日、天国の踊り場で一番の親友だった 健太が転入してくる。 「サマー・スクール」(1994.9.17) 塾に行く途中、見知らぬおじさんに呼び止められ、「予想より三倍重い」という 不思議な石を渡されたケンジ。ほかにも同じような石があるに違いないと、途中 で出会った少女と一緒に、塾そっちのけで新宿の街の探険を開始する。 「スリッピングダウン・ライフ」(1994.10.1) ロック歌手のドラムストリングス・ケイシーに夢中のエヴィは、なんとか近づく きっかけを作ろうと、自分の額に彼の名前を彫ってしまった。しかも、鏡を見な がら刻んだから左右逆さまだ。これをきっかけに、エヴィとケイシーの腐れ縁が 始まった。 「ズボンがはきたかったのに」(1994.10.22) 「ズボンがはきたい」と突如思い立ったアンネッタは、神父になろうとしたり、 男の子になろうとしたりと悪戦苦闘。奇行を重ねたため、とうとう叔父の家に預 けられてしまう。かつてこの叔父に危うく襲われかけたアンネッタにとって、そ こは恐怖の家だった。 「笑の大学」(1994.11.5) 劇団「笑の大学」の座付作者・椿は新作台本の検閲を受ける。不真面目なことが 嫌いな検閲官の向坂(さきさか)は次々と無理難題を突きつけてくるが、それに従っ て書き直すたびに、椿の台本は逆にどんどん面白くなっていくのだった。 「袋小路の小さな獣」(1994.11.19) カタログ販売業のセールスマンをしている男は、今日もまた一人の青年を販売員 としてスカウトする。ところが青年は、判子を押すやいなや、今の契約書に書い たことはみんな嘘だと言い出した。嘘つき芳一と名乗るその青年は、なぜか男に しつこくつきまとい、しきりにからんでくる。 「明日」(1994.12.3) 例によって激しい名古屋弁の飛び交う家庭崩壊劇。と言うか、のっけからすでに 崩壊している。娘の幸世の記憶喪失をきっかけに、どうしようもないこの家族も 一度はまとまりを取り戻しかけるのだが……。 「新しい人よ眼ざめよ」(1994.12.9) (作成中) 「死者の奢り」(1994.12.9) (作成中) 「カムイ外伝」(1995.1.2) 忍の世界に矛盾を感じ、より人間らしい生き方を求めて抜け忍となったカムイ。 しかし、次々とやってくる追手を、自分の身を守るために倒さなくてはならない。 同じ抜け忍同士でさえ、心を許すことはできないのだろうか。 「海のこだま」(1995.1.7) 光のない音だけの世界に住む、平たく言えば盲目の成美。まったくの暗闇という わけでもなく、光を失う前に見た物は、瞼の裏に思い浮かべることができる。だ が、実物の海を見たことのないのだけが彼女の心残りだった。成美はある日、電 車の中で、外の風景を実況している青年に出会う。彼はアナウンサー志望なのだっ た。 「メフィスト・ワルツ」(1995.1.14) とある山奥の寒村に、ピアノの天才少女が現われた。それまでピアノに触ったこ ともない女子高生が、いきなり難曲中の難曲「メフィスト・ワルツ」を弾きこな したのだ。彼女がピアノを弾く時には、過去の大音楽家の霊が乗り移るのだとい う。だが、真相は果たして……という音楽ミステリー。 「時間の隙間」(1995.1.28) 売れない作家をしながら、生活費をかせぐために皿洗いのバイトをしている情け ない男が、その帰り道にマコという変な女の子に出会う。彼はいつの間にか、 「時間の隙間」と呼ばれる場所に迷いこんでしまったのだ。男は否応なしに、本 当の自分を探す旅に出発させられてしまう。 「銀河鉄道の思い出」(1995.2.4) いつも地下鉄で見かける、同じ会社のOLを食事に誘った中村は、そこで「私、銀 河鉄道を信じてるの」というぎょっとするような台詞を聞かされる。鉄道員だっ た夏子の父親は、いつも彼女に「銀河鉄道」のことを話して聞かせていた。そし て、幼なじみの竜介も、その「銀河鉄道」に乗ると言い残して姿を消したのだっ た……。 「バガージマヌパナス」(1995.2.18) 南の島で奔放に暮らす少女綾乃(アヤノではない)の物語。神様から勝手にユタ (巫女)の後継者に選ばれてしまった綾乃(しつこいようだがアヤノではない) の運命はいかに。 「あの日の匂い」(1995.3.4) 「香り」の調合を仕事にする紺野は、恐竜博で使う古代の空気を再現するために、 密かに盗み持っていた「夜来香(イェランシャン)」を混ぜた。ところが、その博 覧会で、観客同士が子供っぽい理由から喧嘩を始めるというトラブルが相次ぐ。 やはり夜来香の作用なのだろうか。何しろその香水は、旧日本軍が今で言うマイ ンドコントロールのために開発していたものなのだ。 「ボクサー」(1995.3.11) 深夜のマンションの一室に転がり込み、ひとしきり大騒ぎを演じた若者たち。す ぐ真下の部屋に「神経質で凶暴なボクサー」がいることを知らされた彼らは、勝 手に作り上げた殺人ボクサーの幻影におびえて、次第に精神の平衡を失っていく。 「レンタル・キャリア」(1995.3.18) 吉岡部長は絵に描いたような堂々たるキャリアウーマン。しかしその輝かしい経 歴は、実は「レンタル」なのだった。ある夜の接待で、吉岡は次々にボロを出し、 危うく経歴詐称がばれそうになる。一方、部下の中にも彼女の経歴に疑いを持ち、 独自に調査を始める者が出始めていた。 「絶叫マシン」(1995.3.25) 業界もの第二弾。今回は、新しいジェットコースターの設計に頭を悩ませる男た ちの話。 「ハルとミント」(1995.4.15) 家族に内緒でペットの火葬場に勤める初老の男。孫が拾ってきた仔犬を飼うのに 彼は反対するが、結局妻に押し切られる。その犬はミントと名付けられた。実は 彼は、戦時中にその命を守ってやれなかったハルという犬への償いの気持ちから、 二度と動物は飼わないことに決めていたのだった。 「勤務時間内戦争」(1995.4.29) 近未来、兵器の製造で儲けるとある会社の研究所で、開発中の軍事ロボットが暴 走した。これを極秘裡に処分するため、持ち慣れない武器を手に実験棟へ送り込 まれる営業部員たち。会社からは、絶対に安全な任務だと言い含められているの だが……。 「うら庭の水の精」(1995.5.5) 「こんな生活、もうつまらない」と王位を捨ててしまい、国はずれのぼろ家に移 り住んだ王様と王女。そこの裏庭で、王女は古井戸に住む水の精と仲良くなった。 やがて王様が死ぬと、叔母たちが次々に王女を連れ戻しにやって来るが……。 「都市伝説クラブZEROtoONE」(1995.5.13) 多国籍企業を隠れ蓑に、滞日労働者の仕送り金をプールして巨利を得る実業家。 その陰謀を暴こうとする査察官の活躍を描く。 「だから、淋しいとりのこえ」(1995.5.20) 何の気なしに乗った電車で美幸という女性に会った名梃子(なてこ)は、彼女に誘 われて村の祭りを見物することになる。だが、この村の雰囲気はどこか妙だ。泊 めてもらった美幸の家でも、奇怪なできごとが起こる。やがて名梃子は、この村 のおぞましい現実を知ることになるのだった。 「ハローワーク」(1995.7.1) 会社をクビになったOLが、失業保険と体を売った金で生計を立てながら、最後に はとりあえず仕事を探す意欲を取り戻す話だと思うのだがよくわからない。 「小さな鉄橋」(1995.7.8) 息子のサトシが突然いなくなった。祖父の進もいない。夫婦はうろたえてあちこ ち行方を探す。当の祖父はその頃、キャンプがしたいと言い出したサトシを連れ て歩いていた。そして、鉄道員時代に事故に遭った鉄橋を通りかかり、そこに石 碑が建てられているのを発見する。 「スティル・ライフ」(1995.7.22) アルバイトで知り合った佐々井という男は、グラスを傾けながらそこに差し込む 宇宙線に想いをはせるような不思議な人物だった。だがある日、その彼の口から、 ひどく世俗的な言葉が飛び出す。ある目的で金を作るために、株の売買を手伝っ てくれないかと言うのだ。結局ぼくは、この奇妙な申し出を受けることにする。 「ぼくの鳴き声」(1995.7.29) タケはフミと一緒にもう十数年、小さなFM局のDJを続けている。だが、若者向け にラップを取り入れるなどの最近の変革に、タケはどうもついていけない。スト レスが嵩じて、ついに本番中に声が出なくなったその時、聞いたこともない奇妙 な音が、彼の口から飛び出した。 「続・カムイ外伝」(1995.8.18) 江戸に渡って荷役労働者として働き始めたカムイは、遠州という男と知り合う。 商売敵・岩戸屋の手下を追い払った腕を見込まれて、大店の稲葉屋に取り立てら れた二人だが、実は稲葉屋への復讐こそが遠州の目的だった……。後半では、岩 戸屋の差し向けた刺客がカムイをつけ狙う。 「赤い土と青い潮」(1995.9.2) 町の集まりで話をすることになった老婆の予行演習、という形で、不毛の土地を 開拓した人々の苦労を描く。 「モモ」(1995.9.3) 町はずれの闘技場跡に住む不思議な少女モモが、人々をだまして時間を盗む「灰 色の男」たちから時間を取り戻すために活躍する。 「月より帰る」(1995.9.9) 地底に作られた人工都市・卵宿は、今はその役目を終え、管理人だけが住む街に なっている。月帰りの男・三島影郎は、この街にやってきて人生相談所を開く。 じきに、彼に人生相談を持ちかけるために、多くの人が卵宿を訪れるようになる。 そしてついに、影郎の待っていた「宇宙服の男」が姿を現した。 「自動車・修理屋」(1995.9.23) 自動車修理工場にやってきた若い女を、壊れた車のところまで送って行くことに なった悠。その女、礼子は、手っ取り早く言えば幽霊だった。恋も知らずに死ん でいった礼子の怨念で、車は見慣れた町のように見えてそうではない異空間に引 き込まれていく――って、そういう雰囲気の話じゃないはずなんだけどな。おか しいな。 「バスが行く」(1995.9.30) ビルから飛び降りるのがレジャーになるような荒んだ未来で、何のためだかよく わからないがバスを待ち続ける老人グループ。時間を越えて移動するバスに乗り 込んだ老人たちは、いったいどこに運ばれていくのか。 「フォアグラと公僕」(1995.10.7) アメリカの軍人墓地を訪れたジャーナリストが、一人の日本人女性に出会う。彼 女の夫は、かつて日本軍の捕虜となったことがあるという。記者は墓の下から彼 を呼び出してもらい、仮想インタビュー(みたいなものだろう)が始まった。 「昭和二十年それぞれの夏」(1995.10.14) 児童たちの疎開先になっている村の畑に、飛行実験中の戦闘機が不時着する。中 から出てきたのは、その村の村長の息子だった。これは果たして事故なのか、そ れとも故意に逃亡を図ったのか、死ぬ前に村に残してきた恋人に会うつもりだっ たのではないのか――夏の一日の出来事の真相が、五十年目に明かされる。 「夕蝉・福富昭典の告白」(1995.10.21) (作成中) 「いつかに続く調べ」(1995.11.4) 日吉ミミのそっくりさんと駆け落ちした、前川清(って誰?)のそっくりさんの 父に会うために、満ちるはピアニストとしてラジオ番組の収録現場に潜り込む。 ところが、本番の最中に父が倒れてしまった。その見舞いに現れたのは、意外に も「ミミさん」ではなく、満ちるの母。実は、二人は何年も前からこっそり会っ ていたのだ。 「天高く」(1995.11.11) 「やわらかい朝」の続編。今回のお客様は、花屋の若い店員である。それにして もよく続くものだ。 「豹たちのダンス」(1995.11.18) ヘミングウェイの短篇に出てくる、ヒマラヤの山頂近くで氷漬けになっている一 匹の豹の話から、ぼくはある男のことを思い起こす。かつて世界各地を放浪して いた頃、戒厳令のためラサに入ることができず、ぼくはさまざまな国籍の連中と 一緒に、砂漠の中の町で足留めをくっていたのだった。 「おじいちゃんの口笛」(1995.11.23) お小遣い目当てに、ホームの老人の孫がわりに面会したウルフとベッラ。だがやっ ぱり、やがて本当の祖父と孫のように仲良くなってしまうのである。 「隠れ家」(1995.11.25) 逃亡中の政治犯がバスの中で隣り合わせた女は、高級住宅街の住人だった。夫が 不在だと知った男は、身分を偽って女の家に入り込み、首尾よくその愛人となる。 もちろん女の方でも、あえて承知の上で男の嘘に乗ったのだが……。 「影たち」(1995.12.2) (作成中) 「サウンドファンタジー」(1995.11.4〜12.2) 音をテーマにしたショートコント集。かんなダイエットがイヤすぎ。 「ボンバの哀れなキリスト」(1995.12.9) アフリカの一地区で布教を続ける神父の報われぬ苦労を描く。一行の中の料理係 が同行の女と関係していることを知って、怒り狂う神父。しかしそんなのは序の 口で、実は村の女たちの貞節を守る目的で建てた修道院そのものが、売春宿とし て利用されていたのだ。 「愚者たち」(1995.12.16) 鬼教頭と罵られながらも根は小心な男ザマニは、電車の中で、ザニというやけに 挑発的な態度の青年に会う。彼は、かつてザマニが深く傷つけた娘ミミの弟だっ たのだ。後日、ザマニはザニが喧嘩をして刺されるところに行き合い、ザニの家 に運んでゆく。しかし考えてみれば、それは自ら針の莚に座りに行くようなもの だった。 「光柱」(1995.12.23) 終電後の地下鉄の線路をひたすらたどりながら、「きみ」は回想する。会社では 退職をほのめかされ、娘からは軽蔑され、妻には離婚話を持ち出されるという八 方ふさがりの状態。それでも「きみ」は、今日こそは妻と話し合うために、何と しても家にたどり着かなければならないのだ。 [メモ]光柱とは、月の光が自分に向かって一直線に降り注いでくるように見え る光学現象である。 「治療塔」(1996.1.13) 百万人の選ばれた者たちが、地球を捨てて大船団で旅立った後、地上は大混乱に 陥った。残された人々がようやく社会を立て直した頃、船団は突如舞い戻ってく る。奇妙にも、乗員たちには長旅の疲労の跡はなく、それどころか、出発前より も若返ったようにさえ見えた……。 「ソフィーの世界」(1996.1.14, 15) 「あなたはだれ?」14歳の少女のもとに届けられた、一通の不思議な手紙。謎の 哲学者との間で、奇妙な哲学講座が始まる。だがやがて、二人のまわりに次々と 不可解なできごとが起こりはじめた。それは彼らの物語を書き綴っている、クナー グ少佐の仕業なのだった。 「いってらっしゃい」(1996.1.20) リストラで退職した山下は、かつての部下と二人で便利屋を始める。別居する夫 婦の引っ越しを請け負った彼らだが、二人ではとても手が足りない。やむなく山 下は、自分の妻と娘に協力を頼もうとする。 「失踪の夏」(1996.1.27) 自分を保証人に指定したまま、カードの支払を残して行方をくらました兄。別に 支払いがいやというわけではないが、ともかく男は、20年以上も前に家族の前か ら姿を消した兄の足取りを、今さらのように追い始める。 「サブウェイ・ブルース」(1996.2.3) 単調な生活を送る地下鉄の運転手が、初めてかけたテレクラで、やはりテレクラ は初めてだという、いかにも純情そうな女と出会う。やがてマチコというその女 から、彼の留守番電話に励ましのメッセージが入るようになった。とうとう、実 際に会ってみようということになった二人だが……。 「スキトオリタイ」(1996.2.10) 過食と拒食の間を行き来するOLの、怖いほどにクールな生態を描く。そんな主人 公の生活をかき乱す「苺畑のどか」のキャラクターが強烈(ネーミングもすごい が)。 「路上にて」(1996.2.24) かつてはギターを抱えて反骨の歌を歌っていた男が、今は同じ路上でチラシ配り。 ひょんなことから、隣室に住む図々しい爺さんにつきまとわれることになる。こ の老人、実は詩人らしい。もっとも、二十年もの間何も書いていないのだが。歌 を捨てた自分と重なり合うようなその姿に、男は次第にいらだちをつのらせてゆ く。 「その時ハートは盗まれた」(1996.3.2) ラジオの深夜番組のDJと田舎の友人との20年にわたる交流。そこにはいつも、ビー トルズの音楽が絡んでいた。 「マスオさんになれなかった男」(1996.3.9) 母方の祖父が死んで、残された祖母と同居することになった家族。新しい家は駅 から十分、百五十坪の土地に建つ、ちょっとした大邸宅である。しかし、親戚の 吉田の不審な行動で、一家の生活に微妙なきしみが生じ始める。ある時はバーの 支配人、ある時は屋台のおでん屋、ある時は道路工事夫、神出鬼没のこの男の狙 いはいったい……まあ想像つくけどね。 「カラカッタ」(1996.3.16) 民話の採集のために、カラカッタ(カルカッタではない)という奇妙な名の村を 訪れた男。この村ではよそでは考えられない、不思議なできごとばかりが起こる という。現に、彼がこれから話を聞こうとしている相手は、今朝死んだばかりの 巫女なのだ。 「グリックの冒険」(1996.3.20) リスのグリックが飼い主の家を抜け出し、故郷の「北の森」を目指して旅をする 話。 「曲がり角の男」(1996.3.23) 土佐勤王党党首・武市半平太の「飼い犬」となって、命ぜられるままに人を斬り 続ける幕末の人斬り、岡田以蔵の心の闇を描く。 「ミッドナイトプラン」(1996.3.30) 深夜、ホテルの一室にコールガールを呼んだものの、腹をくだしてそれ(って何 だ)どころではなくなってしまった男。仕方なく話だけしているうちに、同じ広 島県出身なのが判って意気投合する。やがて男は、銀行強盗を計画していること を打ち明けるが、偶然とは都合のいい、いや、恐ろしいもので、女の方はその銀 行の行員だったのだ。 「最終楽章」(1996.4.20) 写真家の卵の女と、もとクラリネット奏者の男との間でやりとりされる「声の手 紙」を通して、中年男女の間の愛憎を描く。 「ガンジス河の深みに」(1996.4.27) 「砂漠巡行」の主人公(かなあ? 毎回職業が違うぞ)が、今回は妻と一緒にイ ンド旅行にでかけ、例によって自分の信仰心を揺さぶられることになる。 「四月猫ヒノキの冒険」(1996.5.5) 生まれつき尻尾が短いために村を追われたヒノキが、尻尾のない猫でも後ろ指さ されずに暮らせる村を求めて旅に出る話。しかしいつの間にか、仲間と力を合わ せて悪と戦う話になってしまう。 「中身のつまった抜け殻」(1996.5.11) 庭からうっかり蝉の幼虫を掘り出してしまい、仕方なくまた埋め戻しておいたと いう、電車の中での若い女の何気ない話から、自分も同じように羽化する機会を 失った、ただの抜け殻ではないかという想いにとらわれて悩む男たちの話。 「ロング・グッド・バイ」(1996.5.18) どんたく祭の日、二十年後にタイムカプセルを掘り出すという約束のために、か つての同級生三人組が学校に集まる話。 「レイン・ブルー」(1996.5.25) 仕事上の失敗で失職してフラフラしている男の元に、風雅と名乗る女から電話が かかってくる。妻のいる家に息苦しさを覚えていた男は、不思議な声だけの存在 の風雅に、徐々にひかれていくのだが……。 「広場からの手紙」(1996.6.29) 生真面目なOLの元に、白紙の手紙が届く。宛名はなく、「ポラーノの広場」とい う消印だけ。これをきっかけに、過去の知り合いのことを調べ初めた彼女は、や がて宮沢と名乗る男の案内で、生者と死者が出会う「広場」へと入ってゆくこと になる。 「月満ちて水満ち満ちて」(1996.7.6) 間もなく還暦を迎える旋盤工の西田は、定年前に工場を辞めようと考えている。 彼には、ある「小さな夢」があったのだ。もはや日本では必要とされなくなりつ つある、職人としての自分の腕を活かせる場所を求めて、彼は家族にも内緒でタ イ語のレッスンを受けていた。 「世界の果ての小さな海」(1996.7.13) 近未来、人口抑制のために人は65歳になるとみな葬式を出して、「ヘブン」に行 くことが義務づけられた。その旅立ちの儀式を感動的に盛り上げるのが、「泣き 娘」ナナの役目である。ある日ナナは、「ヘブン」から脱走してきた二人の老人 に出会い、彼らをかくまうことになる。 「光る箱」(1996.7.20) 路上の段ボール箱が突然、光を発する――という噂に興味を覚えて、路上生活者 を取材していた女は、やがて一人の男に出会う。男もやはり、箱の中から一人の 女を探し求めていた。彼の焚くカメラのフラッシュが「光る箱」の正体なのだっ た。 「ユートピア郡・幻の町」(1996.7.27) 町の振興のため、大手スーパーを誘致することになった町役場の話。根回しに奔 走する新任上役を後目に、平職員の山田は好きな仕事だけをしている。かつて政 争に巻き込まれて降格されて以来、生臭いことからは距離を置いているのだ。そ んな彼の密かな心の支えは、家の庭で偶然発掘した「化石林」だった。 「絵の中の少女」(1996.8.10) 画家・野崎謙三の絵にしばしば登場する「赤い服の少女」――そのモデルになっ た久子のもとに、一人の記者がやってくる。久子は叔父である謙三を冷酷な人物 だと思い続けてきたが、記者の口から生前の彼の話を聞くうちに、少しずつその わだかまりが解けていく。 「地球の祈り」(1996.8.17) (作成中) 「ケンジ・地球ステーションへの旅」(1996.8.18) 「地球ステーション」に大きなトランクを抱えて降り立った詩人が、「通信」の 許される場所を求めてあちこちさまようというストーリー。宮沢賢治の作家生活 を、彼の数々の作品をからめながら幻想的に描いた話である。 「アカネ」(1996.8.24) 原爆の熱風で顔を焼かれたその日、彼女は「鬼」になった――仮面で顔を隠し、 少女時代の記憶の世界にだけ生き続けるアカネ。運命のその夏、アカネはアキラ というもの静かな少年に出会ったのだった。 「祖父の川」(1996.8.31) 祖父の遺骨を洗うため、川の上流を目指す男。この川ではかつて祖父とよく遊ん だのだった。その想い出を、彼は親戚の子供のシゲルに話して聞かせる。登校拒 否児の彼を励ますために、一緒にいてやってほしいと頼まれたのだ。シゲルが特 に興味を示したのは、上流にある祠から「二つの月」が見えることがあるという 話だった。 「額田王と壬申の乱」(1996.9.22) 歴史的事件の現場に中継班を派遣する「架空実況放送」シリーズが久々に登場 (とか書いているが、私も前のシリーズは知らない)。今回は、壬申の乱の中継 記録を聴きながら、女流歌人・額田王に当時の想い出を聞く。 「杏」(1996.10.5) 仕事に疲れたOLのもとにいきなり飛び込んできた、杏という名の不思議な少女。 杏の運んできた爽やかな風に触れて、彼女は見失いかけていた大事なものを思い 出してゆく。 「鳩と夕暮れと」(1996.10.12) 痔の治療のため男ばかりが入室しているこの病室の窓辺には、不思議と患者の一 人一人に似たところのある鳩が集まってくる。患者の一人である粟口は、自分の 妻があらゆる男から狙われているような気がしてならない。妻が見舞いにくるた び、ついつい身なりを注意したり、職場での人間関係をしつこく尋ねたりしてし まうのだった。 「裸足の男」(1996.10.19) 世の中のあらゆるものを心中で馬鹿にしながら生きている少女エリカは、人ごみ の中で「それ以上先に行くな」と声を張り上げている、いかにもあぶなそうな男 に興味を持つ。裸足になって靴の呪縛から逃れることで、踏んではならない「危 険な場所」がわかるのだと男は言う。 「暑かった夏、そして冬」(1996.10.26) 四十五年ぶりの同窓会に出席した男が、終戦直後の学校生活を回想する話。少年 時代の男のいたずらぶりが笑える。 「太吉の往生」(1996.11.2) 飲んだくれで村中の鼻つまみ者、たーやんこと太吉が、そのキャラクターに似合 わず飲み屋の片隅でひっそりと死を迎えるまでの数日を回想しながら、彼の抱え ていた(らしい)深い業とは何なのかを探る。 「枝の上の白色レグホン」(1996.11.9) 嵐の近づく中、同じ車に乗り合わせる羽目になった中年男と一組の若い男女。昔 気質の男は若者の言動がいちいち気にさわり、そのたびに口出しせずにいられな い。いがみ合いながらも、一行は男の買った農場に到着する。そこに現れた、すっ かりぼけてしまっている元の持ち主の老婆を、若者は意外にも優しく扱うのだっ た。 「鐘は鳴るなり法隆寺」(1996.11.23) 古来より正岡子規、徳川家康、宮沢賢治といった人々にインスピレーションを与 えてきた法隆寺の鐘が語る自慢話。 「涙」(1996.11.30) いつもながら見え見えの父親の浮気を軸に、娘、父、祖母の三者のモノローグを 通して、家族という名の地獄を描く。 「コントラバス」(1996.12.7) コンサートに出かける前のコントラバス奏者が、一人語りで日頃の思索を披露す るという話。 「シェルシーカーズ」(1996.12.14) ペネラピが心臓を患って倒れた。死んでからでは相続税がかかるからというので、 できの悪い息子たちが押しかけ、父の残した「シェルシーカーズ」の絵を早く売っ てしまうように勧める。むろん、彼女は頑として応じない。一方、庭仕事のため に雇った青年に、ペネラピはかつて愛した人の面影を見出していた。 「これで、おしまい」(1996.12.21) 作家マルグリット・デュラスが死の直前まで書きつづった、生涯最後の愛の物語。 「西行花伝」(1997.1.2) 弟子の一人、藤原秋実が生前の師を回顧するという形で描かれる、歌人・西行の 生涯。 「犬のしあわせ」(1997.1.4) 町内の猫たちの最近の話題は、動物嫌いのあんちゃんの家に新しいお嫁さんがつ れてきた犬。さっそく猫の一匹が挨拶に出向くが、人を喜ばせるのが一番の幸せ だという犬とはどうにも話が噛み合わずに帰ってくる。そのお嫁さんが急に入院 し、あんちゃんはろくに世話もしてくれず、犬は次第に痩せ衰えてゆくが……。 「サウンドファンタジーリターンズ」(1997.1.6〜1.10) 「音」が主役のショートコント集がまたもや登場。今回も、効果音の織りなすシュー ルな世界があなたを襲う。 「深夜の市長」(1997.1.11) 司法官の卵で、探偵作家の顔も持つ青年・浅間新十郎は、ある夜、殺人事件の現 場を目撃してしまう。追われる彼を救ったのは、深夜の市長と呼ばれる謎めいた 人物だった。東京の闇を統括する市長に協力して、事件の謎を追う新十郎。こう して彼は、妖しくおどろおどろしい闇の世界に足を踏み入れてゆくのだった。 「しんあいなるチェリストさま」(1997.1.18) この秋から登校拒否を続けている和音は、骨董屋の片隅に陣取って日がな一日レ コードを聴きながら、出すあてのない手紙を書いている。相手は、この夏の間公 園でチェロを弾いていた青年だ。ところがその青年が、店にチェロを売りに来た。 「人間っていいねえ」(1997.1.25) 子供が自分の親のことを書いた詩と、大人の書いた返答詩を、互いに読み合うと いう形式の番組(読むのは作った本人ではないのだが)。 「迷い子たちのらゝばい」(1997.2.1) 東京の郵便局に勤める祐介に、長年希望し続けてきた、岩手への転勤の内定が降 りた。だが折悪しく、彼は恋人と一緒に暮らすために下宿に引っ越したばかり。 誰も帰ってきてくれとは頼まん、と故郷の母はあくまで意地を張るが、祐介の心 は揺れる。 「イソギンチャクの憂鬱」(1997.2.8) 有明海へ写真を撮りにきた素人カメラマンの青年は、調子に乗ってムツ釣りに挑 戦し、錘を頭にぶつけてしまった。気がついてみるとなぜか、さっきまで案内を していたおっちゃんがムツゴロウになってそばにいる。泥の底に潜む河の中で、 青年は海棲生物に姿を変えた死者たちに次々と引き合わされるのだった。 「真紀のヒロシマ」(1997.2.15) テレビ局員二年目にして、原爆記念特番という大仕事を手伝うことになった真紀。 大阪っ子の彼女の目を通して、広島という町の抱える深い悲しみを描く。 「冬桜」(1997.2.22) 美しい冬桜が見られると聞いて、一人の男が古い旅館を訪れる。旅館の看板はと うに外され、残っているのは女主人一人。桜も今年を最後に伐られてしまうのだ という。客にここを教えたのが遠い昔に別れた男であることを女主人は悟る。今 頃になって、いったい何のために……女主人の心は揺れる。 「虫歯とタクシー、その他の不幸」(1997.3.1) 家族の笑顔とラジオ番組への投稿だけが心の慰めというしがないタクシー運転手、 廻長吉の身に次々と降りかかる不条理な災難の物語。 「ブレックファスト・ゲーム」(1997.3.8) 「うちの朝食は、ローテーションだ」――会社員シミュレーションのデータ作り のために、自分の家をモデルにしようとした男。しかし、最初のステージ「ブレッ クファスト」でつまづいて先へ進めない。それも無理からぬこと、よくよく調べ てみると、モデルにした現実の妻との対話自体、ひどく素気ないものになってい たのだ……。 「冬のこおろぎ」(1997.3.15) 法事のために三十年ぶりに訪れた郷里の夕張、しかしその居心地の悪さは今も変 わっていなかった。かつてこの町にいた頃、炭坑で働くのが生き甲斐だった父は、 跡を継げそうにもないひ弱な息子を蔑み、邪魔者扱いした。そのために彼は父も、 炭坑も、故郷の町も憎んでいたのだが……。 「夫婦でハワイ6日間」(1997.3.22) というタイトルだが、結局ハワイへは行かずに終わる。夫婦に娘一人、そこそこ 幸せな家庭に起こる小さな波乱。妻がまだ小さいときに失踪した父親が、生きて いるというのだ。が、それを知らせてきたのが若い女であったことから、話は少々 ややこしくなってくる。 「鈴のない猫」(1997.4.5) 公園で野良猫に餌をやるのを日課にしている老人が、ある日ひどい怪我をした猫 を見つけて、病院に連れてゆく。猫には飼い主がいた。立派なマンションに住む 若い女。猫が縁で親しくなった二人だが、やがて彼女が平気でぽんぽんと嘘をつ く女であることがわかってくる。 「大つごもり」(1997.4.12) 身内の借金を返すため、主人に給金の前借りを申し出たお峰。いよいよ大晦日、 返却期限の日になったが、けちな御新造(奥様)は一度は約束した金を貸してく れない。とうとう、悪いことと知りながら、お峰は主人の金に手をつける……。 「鉄の輪」(1997.4.19) 戦地で死んだ旦那様が、半年も経ってから戻ってきた(もちろん亡霊となって)。 ところが、本家より先に妾の様子を見に行ったと知って、妻は激怒する。かくし て女の愛憎が火花を散らす、ということになるはずなのだが、肝心の相手である 妾さんの姿も昨夜から見当たらないのだ。 「あのゴミを捨てるのはあなた」(1997.4.26) マンションのルールを破って出されたゴミをめぐり、真面目一辺倒な自治会長は 緊急自治会を開く。しかし、こういう会議の常として、世間話や住民同士の不満 の述べ合いにばかり終始して、議題は全然はかどらないのだった。 「残る桜も……」(1997.5.10) ご近所の老人世帯の集まり「長生き老人クラブ」の面々が、桜の下で花見を開く。 来年も元気で集まろうと誓うのだが、その後、メンバーを次々と不幸が襲うのだっ た。 「五月の自転車」(1997.5.17) 道端の自転車を修理しては持ち主の元に送り届ける老人が、一人の少女と出会う 話。 [メモ]何で五月なのかというと、たぶん、五月が自転車月間だからだろう。 「レモンに似た風景」(1997.5.24) ラガーマンの夫が病気で倒れた。よし子は、夫が癌であることを知らされる。だ が彼女には、夫が死ぬということが、どうしても現実の重みとして感じられなかっ た……。 「高速迷子」(1997.5.31) 深夜の高速をトラックで飛ばすやす子。押し掛けてきた中学生の姪が一緒に乗っ ている。やす子はラジオ番組のDJをしている恋人のプロポーズを断ったばかりだっ た。それには決して人に言えない理由があったのだが、姪はその理由をしつこく 聞き出そうとする。 「ベルリン」(1997.6.7) 二人のセールスマンが、いきなり福岡の支店に転勤させられてしまう。ほかに誰 もいない支店で無為に日々を過ごす二人は、裏の野球場で、ほかの子供たちから 外れて二人きりで遊んでいる兄弟と出会う。 [メモ]タイトルのベルリンは、スズムシの英語名……ってほんとか? 「笑え!」(1997.6.14) とある大手スーパーの管理職を集めたセミナーの、グループ研修の課題はなぜか 「お笑い演芸」。笑わないことで知られる会長が、その発表を見に来るという。 これは出世のチャンスかもしれないと早とちりした店長たちは、何が何でも会長 を笑わせてやると、がぜん張り切るのだが……。 「香港の夜は寒い」(1997.6.28) 香港の中国返還を目前にして、ジャーナリストが香港で働く一人の日本人女性に インタビューするという話。 「カモメの飛ばない町」(1997.7.5) 近未来、あふれるゴミの捨て場に困った日本は、ついに月面にゴミを捨て始める。 この行為は諸外国の非難を浴び、孤立した日本は国連を脱退、各国に宣戦を布告 した……。 「永遠の犬」(1997.7.12) 一人の老人が死に、後には老犬が一匹残される。実はこの犬は、決して死ぬこと がなく、人から人への間を旅し続ける「永遠の犬」だったのだ。 「今昔物語より、母よ」(1997.7.19) 親を親とも思わぬ息子たちの非道ぶりに怒った母親が、ついに鬼になる話。 「盆踊り」(1997.7.26) 東京での服役を終えて、龍彦は十年ぶりに故郷の島に戻ってきた。やくざ者の龍 彦を、島の人々は前と変わらず温かく迎える。のみならず、周囲に迷惑をかけど おしだった彼を、島にまで追いかけてきた都会のやくざから守ろうとさえするの だった。 「野原の小道」(1997.8.2) 油田に配属された三人の男女。シャオタイと一緒の隊の若者シーチュンは、近く 名誉回復されるという噂のある政府高官の息子で、そのために周囲から特別視さ れていた。だが、シャオタイは一見とっつきにくそうな彼に、次第に魅かれてゆ く。 「消えた万元戸」(1997.8.9) 文革後の解放政策のおかげで養魚で大儲けし、わずか一年で大金持ちになった孫 万山。それが新聞で報道されたことから、親戚、テレビ局、役人、大勢の人々が 彼の家に押し掛けてきて大騒ぎになる。 「サウンドファンタジーフォーエバー」(1997.8.11〜8.15) シリーズ完結篇(たぶん)。2000年の時を経て、ついに人間とノイズとの戦いに 終止符が打たれる、のかもしれない。 「滅頂」(1997.8.16) 秀秀(シューシュー)の父は養鶏で大金持ちになったが、鶏と卵のために生きてい るような日々に秀秀は嫌気がさしていた。その生活から連れ出してくれると思っ ていた婚約者の明貴(ミングイ)の頭にも結局は鶏しかないことを知った時、彼女 は……。 「古井戸」(1997.8.23) 極端な水不足に悩む村で、年中涸れることのない井戸を掘ろうとする若者と、現 代的な生き方を求める女との愛憎を描く物語。 「海渡り」(1997.9.6) 五十年前の約束を果たすため、死の床にある幼なじみを故郷の沖縄の海に連れて 行こうとする老人の話。 「ありなしの茜」(1997.9.13) しっかり者の娘と、その娘の自立を認めようとしない頑固な夫の板挟みになりな がら、たくましく生きていく老人の話。 「闇の中のメロディー」(1997.10.4) 死の床にいる父を、自閉症の娘が訪ねてくる話。 「侵食」(1997.10.11) 交通事故で歩けなくなった兄が鉄道自殺をした。遺されたノートには、事故に遭っ たのが自分ではなく妹だったという内容の、架空の「日記」が書かれていた。や がて妹は、自分がその日記の世界に徐々に取り込まれつつあることに気づく。 「子供の情景」(1997.10.18) 裕太には以前からよく見る怖い夢があった。川のそばで、髪の長い女の子から 「今見たことを誰にも言うな」と脅される夢だ。そんな折、母親の都合で、裕太 は一緒に郷里に帰って暮らすことになる。実は、ここで昔起きた事件が彼の夢と 関係があるらしいのだが……。 「母の恋文」(1997.10.25) (作成中) 「水底の丸い石」(1997.11.8) 夜になるとど派手な化粧をして地蔵堂の前に立つ謎の年増女、実はOLの素子と、 男たちとの夜毎の交流を描く物語。 「乳房の記憶」(1997.11.15) 父の死をきっかけに、早紀は幼い頃に父と別れた生みの母に会いに行く。親子と しての楽しい時間を過ごす二人だが、やがて早紀は、徐々に自分への干渉の度合 いを強めてくる「母」に疎ましさを感じるようになる。 「ルルゥ・被災地のDJ」(1997.11.22) 神戸のミニFM局「FMブルースカイ」の看板DJ、ルルゥは、やたらと外国人の権利 を主張するため局内でもけむたがられている。阪神を震災が襲ったとき、たまた ま局にいた彼が臨時放送を流した。やがて、この放送は被災地の人々の心の支え になっていく。 「サイコサウンドマシン」(1997.11.24) 音と対話によって心を癒す新型のリラクゼーションマシン、それがサイコサウン ドマシンである。このマシンの実験台になることになった一人の青年、彼が抱え る心の悩みとは……。 「パイパテローマ・南の果ての島」(1997.11.29) ある嫌な想い出から逃れるために家を出た祥子は、あてもなく南の果て、久高島 にやって来る。ちょうど八月祭の日に島を訪れた彼女は、そこで思いがけぬ人の 優しさに触れることになる。 「ファントム・パーティ」(1997.12.6) (作成中) 「小鳥の住み処」(1997.12.13) 自分の家を持ちたいために、母の家を売らせようとする息子と、年はとっても元 気な母との確執、その行方は如何に。 「マイ・スウィート・ベイビィ」(1997.12.20) 子供のできない夫婦が、代理母による出産を試みることになった。二人が代理母 に選んだのは日系二世のひかり。子供はひかりのお腹の中で順調に育ち始めるが、 ここから出産までには、まだまだ越えなくてはならないハードルがいくつもある のだった。 「地球最後の日のデート」(1998.1.10) 新しい恋人とつき合うため、別れ話を持ち出すつもりで、ユウジとの「最後のデー ト」に臨んだナミエ。ところが、海面の急上昇で唐突に世界が水没、たまたまゴ ムボートを持っていた二人だけが生き残り、文字通りの「最後の日のデート」に なってしまったのだった。 「きつねのチャランケ」(1998.1.17) 冬休みを利用して北海道の叔母を訪ねた美香。隣人の日下部はちょっと変わった 人で、叔母と毎日「チャランケ」と呼ばれる議論を戦わせているのだった。 「ヴィジョン」(1998.1.24) ヨウコと共に「緑の共同体」に参加していた哲は、調査に出かけたベーリング海 で消息を断った。それから三年、ヨウコは過激派環境保護団体「緑の剣」が、 「砂の中の記憶」を武器取引に使おうとしていることを知る。それは、哲がヨウ コにいつか見せてくれると約束していたものだった……。 「誰か、ネロをさがして」(1998.1.31) デザイン専門学校に通うサヨ。周囲の仲間と調子を合わせてはいても、心の中で はいつも虚しさを感じている。孤独と過食症にさいなまれながら、彼女はかつて 一緒に暮らした家出少女、ネロの幻を追い求める。 「ノイズの中のトオル」(1998.2.7) 息子が学校でいじめられているのではないかと疑い、心配のあまりとうとう盗聴 機を取り付けてしまった母親。ところが、いじめどころか、息子が女(?)と会っ ていることを知って仰天する。 「四角い聖域」(1998.2.14) (作成中) 「お喋り童子」(1998.2.21) 東北の旧家へ、婿が顔見せにやってくる。この家には座敷童子が住みついていた。 久しぶりに自分が見える相手に出会って喜んだ童子は、家の内部事情をぺらぺら とこの男に喋ってしまうのだが……。 「水入らず」(1998.2.28) 家を出てバスに乗った男の前に、かつての知り合いの幻が次から次へと現れる。 そして、自分が彼らを殺したという記憶も……。妄想の中から、男は妻への愛を 再確認してゆく。 ========================================================================= * 本文書の複写・転載は、内容の改変を行わない限り自由とします。 * バグレポート・質問・要望などは,編集者 津村一昌(tsumura@fml.ec.tmit.ac.jp) まで。 * この文書の最新版およびハイパーテキスト版は http://fml.ec.tmit.ac.jp/‾tsumura/radio-drama/ 以下にあります。